声楽家の妊娠・出産はどうなのよ?
24歳で第一子
29歳で第二子
30歳で第三子
…を産んだ私であります。(随分産んだ・笑)
…これを読んだだけで、殆ど二者択一の現代日本においては「キャリアを積む気がそもそもない人」の行動だよな…と思う。
そういうことには頭がまわらなかったただの世間知らずのアホだっただけですが。
とはいえ、できることは社会に還元してから死のうとは思っておりますのでどうぞよろしくお願い致しますm(_ _)m
ふと思い立ち、自分が妊娠していた当時に検索していたことを覚えているうちに分かる範囲で書き残しておこうと思います。
Q.妊娠中は歌えるのか?
A.歌えます!
…が、
妊娠後期になると曲によっては息切れをおこすようになります。子宮が他の臓器を圧迫しているので横隔膜も当然押し上げられ、肺の体積が通常よりも小さくなりがちになります。
&
後期づわりにより逆流性食道炎をおこすことも少なくなりませんが、それにより咳や声のかすれがみられる場合があります。
&
ホルモンの影響か、声がちょっと変わります。
ちなみに第3子妊娠中は予定日の3ヶ月前まで本番はやれました。(疲れやすいのでオススメはしません)
キャリアをみっちり積んでから妊娠・出産されている方々は結構直前まで仕事していらっしゃるようです。
※経過が順調でないとそもそも無理なので、全ての方が可能ということではありません。
切迫早産など、妊娠中は何かと予定にはない突発的なトラブルがおこることが珍しくありませんので、自分で予定をコントロール出来る方は、健康であることを前提として妊娠中期までにしておくことを個人的にはおすすめします。
Q.出産は安産になる?
A.人による
私は安産でした。
緊張した中でも歌うということを訓練しているので、総じて声楽家の皆様はお産における呼吸も上手いようです。
ひとつの要因ですが、呼吸のうまさ・深さが安産に貢献しているのかなと思います。
とはいえ安産か難産かを決めるのは呼吸のうまさだけではないので、こればっかりはわかりません。
Q.産後はいつから歌えるのか?
A.身体の回復次第
骨盤が自然に元に戻るのにはおよそ半年程度かかります。
腹筋も骨盤底筋などもかなりダメージを受けた状態&緩んだ状態になるので、あまり早い復帰はおすすめしません。
専門のトレーナーに施術してもらいなるべく早くに骨盤を元に戻す…ということも出来るらしい…です(私はやってません)。
(師匠にはいい顔をされませんでしたが)第一子の産後は5ヶ月ちょいで本番にのりました…が、高音域の支えが確実に不足していました(出るには出るけどテクニック的には違うやり方をしたよね、という)。安定したパフォーマンスのためにはやはりちゃんと身体が元に戻ってから復帰したほうがよさそうです。
誰とは書きませんが、とあるソプラノ歌手の方が産後間もない頃に歌っていらして、あきらかに高音域を支えが抜けたかたい声質で歌っていました。(私もですが)
産前の声も産後の事情も知っているので「産後だからだな」と私は思いましたが、その人の立ち位置によっては信頼を失いかねない危険があると感じます。キャリアと相談して選択してください。
Q.産後の腹筋・筋トレはOKか?
A.注意が必要なトレーニングがあります
腹筋が元に戻れば歌える!などと思っていきなり腹筋をするのはやめましょう。
子宮脱を起こします。出産により骨盤底筋が損傷している状態なので、そこで腹圧をかけると…なんと子宮が外に出てきます。まずは腹筋の前に骨盤底筋を鍛えましょう。
さいごに
産後はとにかく栄養と睡眠が足りていない状態が長く続くことになるので、身体の回復を第一優先にしてください。
頭に霧がかかったような状態になることも珍しくありません。産後鬱もノイローゼも全く珍しくありません。
それくらい大変な仕事です。
この記事に検索で辿り着く方はこれから妊娠・出産をする方が多いかと思います。
ご自身のキャリアプランを踏まえて、産後のサポート体制をしっかりと整えておくことをおすすめします。
(2021.8.1追記)