束の間の一人。
待ち時間が癒される。
水面に反射する太陽の光に目を細めながら、ぼーっと、風の音や鳥の声をきく。
ベンチにばーっと両腕を広げて頭を反らすと、雲ひとつない青空だった。
狭い空間に閉じ籠っていると、どうしても隔離されている感覚が強くなる。
こうしてただぼーっとして自分をリセットするのは大事だ。
一人だという解放感と、一人だというこわさ。
自分が広い世界の中のひとつの存在として生かされていることへの感謝と、大自然の中ではいとも簡単に死ぬような小さな存在だという畏れ。
疲れたときはよくここにくる。
歴史と文化のある場所だ。
きっと私が癒されているように、今も昔も多くの人々が癒されてきたのだろう。
人間はとかく人と人の間で翻弄されやすい。
文学も声楽も人の世で生まれたものだけれど、人と共感で繋がっていく中で、どこか自分以外のものと繋がる心地から救われたりするものなのではないかと思う。
一人でありながら一人ではないというような。
全てはひとつなのではないかというような。
闇を知るから光に気づくように。
分離を経て統合するように。
悩み苦しみ、またひとつ幸せを知る。
悩み苦しんでいる最中は余裕を持てなかったりするけれど。
少しだけ、こうやって緩める時間があるとふと、隙間に木漏れ日が差し込むような瞬間があるんだ。