①ボイストレーニングとヴォーカルトレーニング

歌唱力向上のための手引き

※こちらの記事は5年ほど前にnoteで販売していた記事に少し手を加えたものになります。

はじめに

天性のもので最初から達者に歌えるという人も中にはいますが、技術というものの多くは凡人が天才のスキルを研究して発展してきました。
上達のためのテクニックとは即ち、凡人がいかにして美しく歌えるようになれるのか?ということの追求です。

ここでは、凡人であった私がいかにして現時点の歌唱力まで到達したのか?その考え方や方法を書いていきます。

諸注意として…私は今は色々なジャンルを歌っていますが、基本的には声楽を学んできた人間です。

世の中には様々なメソッドが存在します。また、人の好みによって心地よく感じる音も違うでしょう。そこには文化的な背景もありますので絶対的に「正しい」と言えるようなものは存在しないと私個人は考えております。ですので、「万人受けするものではない」という前提はご了承の上、読み進めていただければと思います。

ボイストレーニングとヴォーカルトレーニング

私が主に扱っているのは声楽で、「声を器楽的に扱うにはどうしたらよいのか?」という、ボイストレーニングよりはややヴォーカルトレーニングに寄った内容になります。

声楽を教えている方は「ボイストレーニング」もしていることが多いです。合唱団の指導に来ている声楽家も、その多くは「ボイストレーナー」を自称しています。
ボイストレーニングとヴォーカルトレーニングは、似ているようで少し目的が違うものですので最初に簡単に触れておきます。

 

ヴォーカルトレーニングの訓練がボイストレーニングを兼ねる部分もありますが、そもそも運動機能に大きな偏りなどを生じていたりする場合はヴォーカルトレーニングよりもまずボイストレーニングに特化した訓練をする必要があります。

たまに訓練してないのによく声が出る人がいます。
そのような人が「才能がある」と言われたりしがちですが、そういった人の多くはその人個人の習慣により、「声を扱う運動機能が充実している」場合が多いです。

声楽家は総じてもともとおしゃべりな人が多いです。また、運動部で日常的によく声を出している男子などが合唱の助っ人に入るとカタチになりやすい現象が起こったりします。
発声することにも筋肉を使いますので、よく運動している人は動けます。同様に、よく声を使っている人は声が出ます。歌も同じなのです。

加齢や会話の減少などにより声帯萎縮がおこる場合がありますが、年齢が若くても日常生活において無口な人にも起こり得ます。この場合、衰えた筋肉により声門閉鎖不全などの状態になり、発声器官がうまく機能しません。こういったケースでは歌唱訓練以前にヴォイストレーニング(声の筋トレ)が必要です。そんなに普段から声を使っていないのにも関わらず声にかすれがみられる場合は疑ってみてもいいと思います。
あまり人との交流が無い老人の一人暮らしなどでは、こういった症状が珍しくないようです。また、症状の中には息を止めて力を入れる場面で息漏れが起こるため「力が入りにくい」などもみられるようです。

そもそも声帯がうまくあわさっていない場合は声もうまく出すことができませんので「しっかりと声帯が閉じることが出来るようになる」ことが先になります。
声帯閉鎖がうまくいかない場合は、「エッジボイス」などの練習が効果的です(エッジボイスは検索するとたくさん出てきます)。

ただ、違和感があるのに自己判断するのではなく、まずは専門の医療機関を受診してください。何らかの病気が隠れている場合があります。

 

何らかの競技をやる時、ランニングや筋トレの基礎体力・筋力づくりは必須です。病気や怪我があるのならば治療が必要です。それが揃っていて初めて「競技に必要な動き」ができるようになります。そして、それらの動きが可能になってから適切な動き方(技術)の訓練が可能になります。

・ボイストレーニングは基礎体力・筋力づくり
・ヴォーカルトレーニングは競技をプレイするにあたっての適切な動き方の訓練

という具合に説明することができるでしょう。

 

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