④西洋音楽的に歌うということ~言語のリズム感

歌唱力向上のための手引き

西洋音楽的に歌うということ

外国の食べ物を、食べただけでそのまま再現できますか?
難しいですよね。

西洋音楽も同じです。

方法を知らずに「(日本人が思う)音楽的に」歌おうとすると、無論「日本人らしい」演奏になります。
「気持ちをこめて」歌えば空気の動きを無視して力んで歌いがちになりますし、何かを強調しようと思えば呼気の量を必要以上に多くしがちになります。

ビーフシチューをマネしたらすき焼きが出来あがった感じですね。

言語の持っているアクセントが異なるため、日本語には弾むようなリズム感がありません。基本的に音楽も「縦ノリ」になりがちか、もしくはビートが「点」でしか存在しない演奏をしがちです。

ところが、西洋の言語には長母音や短母音が存在し、弾むようなリズム感が言語の段階で存在しています。そしてそういった土壌で育った音楽が西洋音楽です。日本のポップスであるJポップも五線譜で記譜されており、メロディーやハーモニーなど西洋音楽をもとにしています。

縦ノリの音楽ももちろん魅力的ではありますが、「西洋音楽的に歌う」ということは、西洋の言語・表現に則った動きで歌うということになります。
強調する音は「長く」なりますし、ビートは縦よりも円運動やスウィング感で表現されます。また、拍子も均等ではない拍感で表現されます。

今はインターネットありきの時代ですから個々の音楽的な生育環境にも大きな差異があります。そして自然と身に着けているリズム感も人それぞれです。
どうも西洋音楽の本場とは違う動きをしている、ということで悩んでいる日本に生まれ育った純日本人の方は、そのあたりを意識してみてはいかがでしょうか。
五線譜やピアノなどの洋楽器は目に見えるものとして輸入・マネできますが、私達は日本語を話し、日本文化の中で生活しています。無意識で身についているものを顧みて研究すると新しい発見がありますよ。

異なる文化にあるものが異国へ行くと違うものになるのは、なにも日本だけではありません。日本発祥の剣道も海外でのびっくり映像が落ちています。

日本人独自のやり方!というものを編みだすのもまた格好いいのかもしれませんが、道具には背景があります。どういう扱い方をすればその機能を十分に発揮出来るのか?という視点は重要なのではないかと私個人は思います。

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